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それは遥か昔の…【9】

「今思えばサフィエは俺に魔法を扱う理論を教えようとしたんだろう。その当時、俺は勘で魔法を習得していたからな。」

「でもセンスも大事だと、思いますよ。魔法も剣を扱うことも、結局体で覚えるものだと…」

「そうかもしれんが、俺は理論など全く考えなかったからな。気が付いたら魔法が使えた…そんな風に今も昔も生きている。サフィエからしたら信じられなかったんだろうな。」

ファルシャはやれやれとため息をついた。













イグニス地域、首都モント。


「この本にはダークエルフの魔力はワタクシ達の創造神であるフロックスから来たものだと書いてあるけど、それは間違っているの。」

「なぜだ?」

「考えたことはないの?!もしフロックスから来たものなら神に対抗する力になりうるものは取り上げておくべきじゃない?そしたら今頃モントの全ての魔法師達は剣を持って戦っているはず。だからワタクシ達が使う魔力は元々ダークエルフが持つ力。」

お分かり?とばかりにエミリタは盛大にため息をついた。
なるほど、確かにエミリタの言う通りなのかもしれない。
グラット要塞でロハが騎士達を殺害した後、ビクトール・ブレン男爵は亡霊に、若い騎士ハウトもまた、モンスターへと変貌を遂げ種族達を襲っている。
そう考えると、もしダークエルフの魔力がフロックスからきたものであるのならば、フロックスが種族達に殺意を抱いた時点で消え去っていてもおかしくはないのだ。

「貴方の魔力はまだ貴方の中に封じられているの。ダークエルフはね、生まれながらにして完全なウィザードでありウォーロック。時が来るまでは貴方の中で眠り続けている。」

「どういう意味だ?」

ファルシャは左目を一瞬細めた。
彼特有の不機嫌や怒りを表す仕種らしい。

「ワタクシ達も含め、普段火を使うでしょ?火は人を温め明かりをもたらし時には武器となる。けれど大きすぎる火は自らをも危険にさらす…。それと同じ。魔力の扱い方を知らないと己が身の破滅を招く。火が燃やすものは全ての燃える物だけど、魔力が燃やすものは器となる人物の肉体と精神。だからこそ一定以上の水準を要求するの。」

最初から大きな魔法を扱えないのはきちんとした理由があるようだ。
ファルシャは本をもう一度本をパラパラとめくって閉じた。

「なるほど。俺が受けている一連の試験は水準を満たしているかどうかの試験ってことか。それで、本の最後に書かれていた課題が次の試験ってことか?」

「そう。物分かりのいい子は好きよ?フロックスの恩寵で大陸に残されたフロックスの熱気を集め、赤いコインを作り出す!3つ集めれば、それをコインにすることは簡単だから、本に書いてある内容を参考にして炎を閉じ込めた箱を見つけなさい。その中に入っているはずだから。」

「火炎の心臓部に行けばいいんだろう?」

パタリと本を閉じてファルシャは鞄にしまい込むと同時にダルベガワンにあるバインドの一つ、火炎の心臓部にあるワープポイントの石を取り出した。
それを頭上に投げると砕け散って光の粒がファルシャを覆い、一瞬強く光った。
次の瞬間そこにファルシャの姿は無かった。



「出て来なさい。あの子は行ってしまったよ。」

エミリタの言葉にクローゼットの扉が静かに開いた。
このマグマが赤く煮えたぎる暑いイグニスには不似合いな厚手の灰色のマントで全身を覆い、目深にフードを被った人物が出てきた。
流石に王女の前では無礼だと感じたのか、その人物はフードを取る。
ターコイズのような青く輝く肌、瞳孔のない瞳はその人物がデカン族であることを物語っていた。

「弟が世話になりまして。感謝いたします」

高くもなく低くもない声で丁寧に礼を述べた。

「しかし…ダルベガワンを探索、というのは少々酷ではないかと。アレの魔力はまだ未熟です」

「そう?ワタクシはあの子の潜在能力は高いと思ってる。魔法を扱うセンスはとてもいい。ただ今まで誰もウィザードとしての魔力の扱い方を教えて来なかっただけに見える。でもあの子は理論より勘で魔法を使っている。だからこそやり方は少々厳しくは感じるかもしれないけれど実践で学ばせたいの。あなたも気付いてるんじゃなくて?」

デカンは悔しそうに唇を噛んだ。
どうやらあながち間違いではないようだ。

「もし本当に気になるならあなたがダルベガワンに行って見守ることね。」

「言われなくともそのつもりだ。」

そう言うとデカンはファルシャと同じように姿を消した。
エミリタはやれやれとため息をついたが、その顔は楽しそうな笑みを浮かべていた。


〈続く〉
_____

ファルシャ(以下ファル)「おい」

大瀧蛮(以下蛮)「な…なんでしょ?」

ファル「前のアップデートの日にちを言ってみろ」

蛮「さ…3月3日ひな祭り…」

ファル「今日は何月何日だ?」

蛮「し…4月7日…」

ファル「こんな無駄なグダグダ話に1ヶ月以上か?」

蛮「…」

ファル「見てる人はもうないぞ?」

蛮「いや…私、端からそのつもりですが…?」

ファル「だったら何のために書く?」

蛮「そんなの…自己満ですよ(キリ」

ファル「よくわかった…一回地獄見てこい!」

蛮「え?あ…!ぎゃあああああ!」


《END》

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それは遥か昔の…【8】

「‘ウィザード’に‘天才’って意味があんのは知ってたけど、ファルはまさに天才ってわけだな!」

「それは違うぞナーガル。俺は魔力を凝縮して放つことが昔からできなかった。だが代わりに拡散して放つ術を模索していた。ダークエルフはそういう魔力の使い方もできると知ってたからな。あれはその場の思い付きなどではない。」

「それが天才だっつってんだよ…」

ナーガルはわずかに頬を膨らませてそっぽ向いた。













イグニス地域、首都モント。
エミリタに持ってきたコインを差し出すと、エミリタはしばらく眺め回していた。

「懐かしい…。モンスターの血と肉で汚れてゴールドコインを持ってきた時、生まれて初めて父王がワタクシに微笑んでくれたの。これをこの本に置くと…」

エミリタがファルシャの持って来た本の上にコインを置いた。
するとコインが光り、『魔法原論―ウィザードの広域魔法―』が別の本に変わった。
そこには『魔法原論―ウィザードの潜在力―』と書かれていた。

「あの時も今のようにワタクシが次に勉強すべき本に変わった。」

「なるほど。だから俺をあそこに行かせたわけだ…。」

「そうよ。でもね、ワタクシが貴方をあそこへ行かせたのはそれだけじゃない。勿論コインが必要だったこともあるわ。でも一番大事なことはね…」

エミリタはダークエルフ特有の左右で違う瞳でファルシャを見つめた。
それは何かを探ろうとしているようでファルシャは妙な居心地の悪さを感じた。

「貴方の運命は一匹のモンスターを狩るウォーロックの道とは違うことを教えてあげたかったからなの。」

ファルシャははっとしたように目を見開いた。
自分が切り抜けるために使った魔法はまさに一度に数多の敵を相手にするための魔法ではなかっただろうか。
無我夢中で使ったが、それは自分がウィザードの素質を少しでも持っているということなのかもしれない。

「結局ね、信じられるのは自分自身だけ…。自分を信じ、敵の中に飛び込み、勝利をその手に握る。それがウィザードの真の姿よ。」

「俺自身を信じる心…か…」

「そう。さあ、少し時間を取りましょう。貴方はまずこの本をじっくり読むこと。読み終わったらまたワタクシの所へ来てちょうだい。」

そう言ってエミリタは本をパラパラとめくって素早く目を通すとファルシャに突き付けた。



モーリセン地域、首都カイノン。
ギルドCoCaTieLの本拠地になっているこの街は暖かい日差しと豊かな緑が美しい。
そしてカイノンはいい意味でも悪い意味でも結構賑やかだ。
そんな街でファルシャはギルド倉庫の見張りも兼ねてギルド倉庫内で読書にふけっていた。

「最近挙動がおかしいと思ったら…そういうわけでしたのね?」

「…!」

ご機嫌いかが?という挨拶と共に緑の髪を結い上げて襟足だけ垂らせたエルフがニッコリ笑った。

「サフィエ…。おい!」

ひょいとファルシャが読み耽っていた本を取り上げた。

「あら。ウィザードになるんですのね。それでここ最近のノリの悪さが理解できましたわ。試験が優先されますものね。」

サフィエが眩しいまでの綺麗な笑みを浮かべた。
こういう時はたいてい嫌みであることを長くもなく短くもない付き合いの中からファルシャは学んでいる。
つまり、「なんで黙ってたんだコノヤロウw」というわけだ。
サフィエはファルシャにとっては姉的な存在である。
ファルシャ達の“兄弟”とされる存在はあらゆる種族が入り交じって構成されている。
一度種族間の対立意識はないのか、とセイランとエレオンに問い掛けたことがあるが、「それは上層部だけで末端の冒険者まで徹底する必要はないでしょ」と切り返された。

「なになに?

『一部の学者は大陸北部のダルベガワン地域にできた火炎の心臓部からイグニスにある魔法の力を持つ溶岩の気運を発見した。
そして彼らはそれが創造神がこの大陸に下した恵まれた火種の一部だと主張している。
創造神からの恵まれた火種がダークエルフに変貌する際、ほとんどの炎はイグニスから燃え上がったが、その神聖なる炎の一部が風に飛ばされ、遠くまで広がることになったと彼らは主張する。』

ダークエルフの成り立ちに関する神話かしら?炎がダークエルフに変貌…使う魔法を考えれば納得できるわね。」

「返せ。俺の本だ。」

「うふふ。そう怒らないでほしいわ。ダークエルフには興味があるんですの。」

そう言いながらサフィエは本をパラパラとめくった。
ファルシャも無理に止めさせようとはしない辺り、この姉に弱いのか、はたまた弱みを握られているかするのだろう。

「ねえ、ファルシャ。貴方、この世界の血とマナの流れは知ってるわよね?」

「あぁ、それがどうした?」

「マナは一番は精神によって決まり、次点は魔法に対する知識。マナは無意識下で防御行うがために精神を鍛えマナの流れを大きくする者は魔法に対するある程度の無効化ができる。さらにマナをシールドと化する事で、ダメージを削ることもできるわね。また魔法に対する知識を持ってある程度の力の相殺や魔法による障壁を作ってダメージを無効化したり削ることもできる。ねえ、これがどういうことかわかる?」

「エルフの理論だろう?俺に関係あるのか?」

「あら、攻撃魔法が中心だからって、防御魔法が全く使えない、なんてことはないんじゃなくて?まして、一説によればダークエルフは元々エルフなんだから。」

サフィエは楽しそうにクスクス笑った。
ファルシャは一瞬左目を細めたが、サフィエは気付かなかったようだ。
勿論、サフィエは気付いた所でからかうようなマネはしない。
そこは一家の長であり、現CoCaTieLのマスターセイランとは大違いだ。

「確かに防御魔法と攻撃魔法は両立しない部分がないとは言わないわ。でも最初からできないって決め付けるのも良くないと思うのよね。やってみなきゃ、わからないわよ?為せば成る。為さねば成らぬ何事も…。うふふ、喋り過ぎたわね。お節介なお姉様の戯言ですわ。では本はお返ししますわね。倉庫番頑張ってくださいな☆」

そう言い残すとサフィエは軽やかに出て行った。

「魔法の使い方…か…。」

サフィエの言葉はファルシャに妙な引っ掛かりを残した。


〈続く〉
_____
前回のアップからだいぶ時間経ってますが、どうなってるんですか大瀧蛮さん♪

そして無駄話に2594文字…
無駄話にここまで字数を使える辺りがさすが蛮さん…

…というか色んなマンガアニメに影響されてると思うんだわ…

マナの防御云々の話はウォロの方でも使った気がするなぁ…
確かサーペンタープリーストを倒す云々の回だったはず。

いつ最終回なんだろうこれ…

まぁ、もう忘れられてる気がするからマイペースでいいよね?!

…てことで


【次回予告】

次回で行きたい所まで行けるかどうか不明だからやめとく!


《END》

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それは遥か昔の…【7】

「それで、コインは見つかったの?」

「あぁ。同時に最も大切なモノも見つかった。それが俺が身につけた初めての魔力のコントロールだった。」

「魔力のコントロール?」

ソプデトは不思議そうに首を傾げた。
無理もない。
精神の力が強いエルフの彼女の試験はテンプラーの覚悟とマナを使わない戦いを知ることが中心だったのだから。













エイブラリ地域、荒れた廃墟バインド。
エイブラリには種族の交流拠点、エルス港がある。
様々な種族達で賑わい、様々な商品が行き交う、まさに港に相応しい場所である。
また、西に行けばヴィア・マレアに、北に行けばモーリセンに、東のワープゲートを通ればイグニスに行けるいわば要所であり、緩衝地帯と言えるだろう。
中央部にはオークの要塞があり、周囲にはエルフとヒューマンが連合してモンスターを退けた跡と言われる勇猛の跡が、南西部にはオークに襲撃されて廃墟と化したアルマナ荘園があり、オークと因縁の深い土地と言える。
北東には裏切りの島が、南東にはプラッターの要塞がある。
ファルシャが目指している荒れた廃墟はプラッターの要塞付近にある。
その転送ポイントにファルシャが姿を現した。

「いつ来ても寂しいな…。ま、廃墟付近に賑やかさを求めるのもどうかと思うがな。」

ファルシャはプラッターの要塞の方ではなく、廃墟そのものの中へ歩き出した。
がらんとした廃墟には火炎の支配者や水の守護者、猛毒の錬金術師といったモンスターがウロウロしている。
崩れた壁の死角を利用して更に奥まですすむと、建物と建物の間の広い道に出た。
北側にキラリと光る物が見えたが、きっとゴーレムだろう。
ここいらにはブロンズゴーレムやアイアンゴーレム、クリスタルゴーレムがうろついていると聞いたことがある。

「あっちにはないな…」

エミリタが醜いモンスターと言っていたことからゴーレムがいる辺りではないと見当を付け、別の場所に移動する。
ふと右を見ると昔は建物の入口だったらしいアーチ型の穴がついた壁がある。
引かれるようにファルシャはそこに入った。
そこには衝撃的な光景が広がっていた。

「な…なんだこいつは?!」

ファルシャの目に飛び込んできたのは巨大な腐った肉塊のようなモンスターだった。

「よこせぇ~…知識をよこせぇ~…」

うねうねとうねりながらソレはファルシャに手を伸ばしてきた。
どうやらこれが知識に飢えた者だろう。

「大人しく食われてやる義理はない!」

その言葉と共にファルシャはモンスターの後ろに回り込んだ。
摺り抜けざまに魔力の炎をたたき付けることも忘れない。
しかしモンスターの後ろに回り込んだ瞬間目に入ったのは数えきれないほどの今しがた背後を取ったモンスターと同じモンスターだった。
それが一斉にファルシャに襲い掛かる。
全身のマナを沸騰させてモンスターの頭上から炎を降らせるが、相手はそれ以上にいた。

「チッ…!こう数が多くては対処しきれん…!」

攻撃を摺り抜けつつ魔法を撃つが、対多数では効果は薄く、これではコインを探すことも難しい。
このままでは消耗した所で一斉攻撃を喰らってしまう。
しかし後には引かないと堅く決意したからには後戻りなど、ファルシャの主義としては不可能だ。

「クソッ…!どうすればいいんだ…!」

それでもファルシャは左手に魔力を集めて炎を召喚する。
突然世界が色を失い、全てがスローモーションになった。

『ウィザードが使う魔法は、使おうとする地域全体に同じく影響する。』

ドクンと体の奥底で何かが脈打つのが感じられた。
炎を召喚したまま左手を空に向けると一気に地面に叩き付けた。
同時に炎を押し拡げるように魔力を放出する。
その瞬間、魔力の炎が地面を這うように広がり、辺りのモンスターは驚いたように後ずさった。

「そうか…!そういうことか…!」

続いて大きな炎の塊を召喚し、モンスターな当たった瞬間拡散し爆発する魔法をかけて投げ付ける。
それは1匹に当たった瞬間飛び散り、更に周りのモンスターに当たって爆発した。
ファルシャは次々とモンスターを燃やしていった。
しかし新しく覚えた広域魔法は確実にファルシャを消耗させた。
じわじわと体が疲労を訴え始める。
だが、魔力の炎を投げ付けて爆発させた瞬間、頃合いを見計らったように金色に輝くコインがファルシャの足元に転がった。
それを拾い上げると脇目もふらずに廃墟を走り抜け、イグニスへと続くワープゲートに転がり込んだ。


〈続く〉
_____
先生~!末期厨二病患者がここにいます~!

そんなわけで書きたかった部分その1を書けて満足なファルシャさんです

今回は1874文字!

リングバーストっぽいよね…
まぁ力を放出する方が簡単なんじゃないかということで。

魔力のコントロールだけで言うなら難易度的には
(易)リング<ピアス<シールド≦イミュン<アド(難)
じゃないかと勝手な妄想。
ただし、マギを読んでると防御の方が早く覚えられるっぽいが…

え~とどうでもいいですね!

どうでもいい話ついでにもうひとつ

最近はこのシリーズがアニメ化したらキャストはどうなるだろ~…とか考えます@@
ソプデト:中原麻衣
ナーガル:うえだゆうじ
ファルシャ:…?w
セイラン:朴ロ美or皆川純子or竹内順子(ぇ

とかとか@@;

まぁ現実問題として、比較的古いゲームをアニメ化する価値はあると判断されるのか?
とかそうだったらスタジオねぇよw
とか問題しかない!

とりあえず、言いたいことを言ってみた!


【次回予告】

全くネタが出来上がってません…悪しからず…


《END》

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それは遥か昔の…【6】

「それでさ、本は見つかったのか?」

「ああ、本棚の比較的わかりやすい位置に置かれていた。
ま、埃を被って多少タイトルはわかりにくかったがな。
魔物も1匹燃やしてやれば後は怯えて近付いて来なかったからかなり楽だった。」

「魔物に合掌…」

どうやらナーガルが憐れむ部分は必死で本棚を探したファルシャではなく、燃やされた魔物のようだ。













イグニス地域、首都モント。
探し出した本をエミリタに差し出すと「少しはやる気があるようね」と短い言葉の後、エミリタはしばらく懐かしむように本をパラパラとめくった。

「あぁ、久しぶりだわ、この本。確かにヴイエルンが送った初級の教材とは断然違うわね…」

ファルシャは黙ってその様子を見ていたが、まちきれずに思わずエミリタに声をかけた。

「俺も読んでみたいのだが…」

エミリタは黙ってあるページを開いてファルシャに本を差し出した。
そこには以下のような内容が印されていた。

『ウィザードが使う魔法は、使おうとする地域全体に同じく影響する。
範囲内にモンスターが一匹しかいなくて魔法力がより強くなったりすることはない。
〈中略〉
ウィザードの広域魔法は必ず攻撃魔法に限らない。
仲間が攻撃されている場合、それを防御できるグループモータルイミュン、魔法を使い仲間がいる場合、魔法の再使用時間を時間限定で無くすことができるキリングタイムといったスキルがその例である。』

「なんだ…これは…」

「そこが一番大事なのよ。簡単にはマスターできないだろうけど、マスターできればワタクシに土下座して感謝の言葉を言いたくなると思うから。良い先生にであったことにも感謝して欲しいわ、オホホホ。」

エミリタは得意げに高笑いをした。
ファルシャは黙ってその様子を見ているだけだ。
実際、エミリタが要求した本は謎めいているが、心構えなどよりずっと大切な内容が詰まっているように思える。
それはきっとこれから会得しなければならないものなのだろう。
それも、頭で考えるのではなく、体で。
瞬間、エミリタは笑うことを止め、すっと真顔になった。

「では、本も揃ったし、次に進んでみようかしら。この本は古い本だから今とは少し異なる部分もあるし、あまり役に立つような内容がないけど、一度目を通しておきなさい。でも、この本を読むだけで全てを理解することは大変なことだと思うし、時間の無駄だと思う。」

「だが、理屈を知らなければ魔力の操りようがない。だからあんたはこの本を持ってこさせた。」

ファルシャの言葉にエミリタは面白そうに唇の端を上げた。

「そう。だからこの本が教えようとすることを自ら体験できる所を教えてあげるから、行ってらっしゃい。まず、エイブラリからイグニスに移されるポータルを探しなさい。そこから少し南の方に行けば、知識に飢えた者達が一杯いるところがあるわ。」

「わかった。そいつらを全部倒せばいいのか?」

エミリタはやれやれとばかりにため息をついた。

「若い者はせっかちね。人の話は最後までききなさい。ワタクシが王宮で暮らした幼い頃、父王が出した宿題の中で一番嫌だったのは、一人でモンスターの群れの中に入り込み、ある物を探し出すまで出て来てはいけないことだったの。」

「ある物?」

「そう。今回貴方に探してきてもらう物よ。とにかく、目を隠されてオルピンの手を握って付いて行くと、ある瞬間からオルピンが手を離していなくなり、目が覚めると周りに吐きそうになるほど醜いモンスターだけがウロウロしていたの。」

エミリタが一瞬身震いをした。
どうやら思い出したくない記憶らしいが、忘れたくても忘れられないらしい。

「そこをどう抜け出したかは覚えていない。ただ、死ぬつもりでモンスターを倒し、父王が隠しておいた物を探し出し、残りの力を尽くしてモントまで走ったの。」

「今度は俺が探してくるってことだな?」

「そう。貴方が探してくるものは炎が描かれたゴールコイン。それを探してワタクシに持って来なさい。探し出すまでは戻って来る考えはしない方がいい。」

どうやらそれまでは教えるものもないし教えるつもりもないらしい。
しかしファルシャも薄々これが自分にとって大きな試練だと感じていた。
「試験に無駄なものは何一つないよ」というセイランの言葉が頭の隅に残っていたからだ。
そして「やる気がないなら諦めろ」というエミリタの態度にも、クールな仮面に覆われたファルシャの闘争心に火をつけた。
無言で立ち上がり、エミリタのもとを後にする。

「何があろうと俺は引かない…」

その呟きはモントの喧騒に掻き消された。


〈続く〉
_____
やっぱりグダってしまったなぁ…

ウィザード転職はヤマが個人的に3つくらいかなと思っています。
その一つ目をどう描くかで、数少ない読者がなくなってしまうかも…とかf^_^;
まぁ、激しく厨二病な回になることだけは間違いないな。
個人的には厨二病な展開は大好きですけどねf^_^;

さて…次回どうするか、ですね(>_<)
ネタは出来上がってるんですが、どっちを取るか…
2つ考えてますが、どっちを優先すべきか…う~ん

【次回予告】(字数の無駄遣い)

エミリタの試験をクリアすべくファルシャは荒れた廃墟に向かった。
そこに待ち受けていたモノとは…?!

「チッ!こう数が多くては対処しきれん…!」

窮地を脱するべくファルシャが考えた方法とは?!

「そうか…!わかったぞ!」

次回、「それは遥か昔の…」第7話。
お楽しみに!


いや、楽しみにしなくていいです(>_<)


以下私信
Kちゃん
やっとこさカウンター設置したよ


《END》

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それは遥か昔の…【5】

「結局犯人は誰だったんだ?」

「セイランだった。俺達の見えない所であれこれ手を回していたらしい。姉貴はその気配に気付いたわけだが…」

「エレオン姉さんも、暗殺者なのね。」

「まあな。…っと余計な話をしたな…」

ファルシャが話を進める間にソプデトは露店をたたんで本格的にナーガルと二人でファルシャの語りを聞く態勢に入っていた。













イグニス地域、首都モント。
ファルシャはアルマンに言われた通り、『魔法概論―ウィザードの心構え―』を携えてエミリタ・リオナンを訪ねた。
面会した瞬間、アルマンの言っていた「美しい」の意味がわかったように思えた。
肌が綺麗、顔が整っているといった要素よりも何か人を引き付けるオーラを感じさせるのだ。
さすが、カノス・リオナンが国王の時代に、次の王位継承者と噂されただけの風格はある。
この時ばかりはファルシャも思わず小さく一礼をした。

「何の用ですか?ワタクシは忙しいのです。手短にしてちょうだい。」

エミリタは些か機嫌がよくないらしい。
テーブルの上には直前まで訪問者がいたのかエミリタの前にはまだ微かに湯気が上がっているティーカップが置かれている。

「まさか…貴方もメイジなの?」

「あ…あぁ…そうだが…」

その言葉にエミリタは深いため息をついた。
いかにもうんざりした様子だが、何か理由がありそうだ。
瞬間キッとファルシャを睨み付ける。

「このモントには一体何人メイジがいるのかしら?!」

「え…?」

「何人ウィザードになりたいメイジからいるのかしらと言っているのよ!こんなにも集まってくるなんて、うんざりだわ!」

あまりのエミリタの剣幕に、流石に「ほとんどのメイジがウィザード志望です」とは言えない。
エミリタは怒ったように言葉を続ける。

「おまけに志願者が手に提げてくるその厚い本。」

エミリタはファルシャが持っていた『魔法概論―ウィザードの心構え―』をびしっと指差した。

「そう、その本にワタクシの馬車の奥がぎっしり詰められて座る所さえないわ、まったく!ワタクシも読んでみましたけどね、ひどいったらありゃしない!そんな雑な魔法書で魔法を教える気はまったくない!本当にウィザードになりたいと思っているなら他に方法があるわ。まあ、ここで諦めるかどうかはそっちの勝手だから無理やり勧めたりはしないのよ。」

どうするの?と言わんばかりにエミリタはファルシャを睨み付けた。
そんなことを言われなくてもファルシャの心は決まっている。
負けじとばかりにエミリタを睨み返すと、エミリタは面白そうに口元を歪めた。

「よろしい。その強気が折れないように頑張りなさい。いいこと?ウィザードになるにはね、子どもの時から十分に修練を繰り返す必要があるの。ワタクシは子どもの時は先代の国王陛下に直接教えていただいてきたのよ。でもあまりにも厳しくて今でもその時を思い出すことで鳥肌が立つわ。」

なるほど、先代国王カノス・リオナンはかなり本気でエミリタを、と考えていたようだ。
しかも、カノス・リオナンは冷たい人間だったと聞いている。
父親のロシュ・リオナンですら、カノスより庶子のフロイオン・アルコンに愛情を注いだと言われている。
いや、それこそがカノスを冷たい人間にしたのかもしれないが、真実はわからない。
ともあれ、その国王からの厳しい修練とはいかほどのものだっただのろうか。

「もし、今のワタクシがその時に教わったことを覚えていないなら、こんな苦労もしなくて済んだのに」

「…」

エミリタはホゥと息を吐いた。

「まずはワタクシが当時使っていた本を探し出してきてちょうだい。必要なのは『魔法原論―ウィザードの広域魔法―』よ。メンブラノの王室別荘にあるわ。モンスターに襲撃される前まではそこにあったから、あちこちにある本棚を探していれば必ず見つかると思うわ。さ、急いで!グズグズしてる暇はないでしょっ?!いい?『魔法原論―ウィザードの広域魔法―』よ?」

半ば追い出されるような形でファルシャはエミリタのもとを後にした。

〈続く〉
_____
今回は1701文字

え?全然進まないよ大瀧蛮さん?w
余計な話を入れてgdgdしてしまってる感すげぇw
きっと肝心な部分がさらっと終わるんだぜ…

ちなみにカノス・リオナンとフロイオン・アルコンのネタは公式設定なのでわかりづらいと思います。
入れて楽しいのは私だけ!ってねf^_^;

しかし進まないなぁ~


《END》

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それは遥か昔の…【4】

「ファルが笑う…私、あんまり想像できないわ。
だって初めて会った時からあまり表情が変わらないから、ちょっと怖いイメージだったのよね。」

「ソプに同意。
俺、正直ファルシャのこと苦手だったんだよな。
しっかし、ファルシャでもそんな風に脅したりとかすんだな。
問答無用で枝を折ると思ったのに」

「お前ら…俺を何だと思ってるんだ…。
俺だって笑うことくらいあれば脅したりするだぞ…相手が喋る魔導書でもな。
そんなささいなことで俺の話を遮るな。
進まんだろうが…」

どうやら違う世界に飛ばされた時に同じ手を使ったことがあるようだ。
黙って聞いてろ、とばかりにカバンからチョコレートを出すと、ナーガルとソプデトに投げ渡した。













イグニス地域、首都モント。
ファルシャは古代ウィザードの杖を抱えて再びアルマンを尋ねた。
抱え込んだ真っ赤な杖を見て、アルマンは驚いたように目を見開く。
続いて感嘆のため息を漏らした。

「あんたが持ってこいと言った品だ。」

「実に美しいね。こんな鮮やかな赤い光は初めてです。」

確かにそう言われて改めて眺めて見るとまがまがしいと言えるほどに美しい赤はまさにダークエルフの魔法のように見える。
しかし同時にそれは魔法によって流される血の色をも象徴するような気さえした。

「それで、俺は合格なんだな?」

「もちろんです。でも残念なことに、ウィザードの教育を受けたがる人があまりにも多くて、僕一人じゃ全メイジの教育を担当するのは無理です。と、いうことで志願者の一部はモント第一王女エミリタ・リオナン様がご担当なさることになりましたわ。」

アルマンは引き出しから1冊の厚い本を取り出すとファルシャの前に置いた。
ハードカバーの表紙には『魔法概論―ウィザードの心構え―』と書かれている。

「これを持ってエミリタ・リオナン様をお尋ねなさい。美しい…そう、とても美しい御方です。能力も高いし、オッホホホホ。この本を持ってエミリタ様を訪ねてみてください。その教育が終わったら、それからの手続きはここでやってあげますから。終わったらまたここにいらしてください。その前にもう少し紅茶を飲んで行かれますか?」

「いや、結構。あまり遅くなると兄弟達が心配するんでな。」

「そう…。ティータイムならいつでも歓迎しますよ。」

一人ではつまらないですし、とアルマンはいたずらっぽく笑った。


モーリセン地域、首都カイノン。
不在のギルドマスターことセイランの代わりにファルシャはギルド備品などの整理をしていた。
プロイヤンやタリスゼン、レティチアスタッフにバルタソンブロードソードにロジェボウ、レブデカダークといった具合に初心者でも扱いやすい色々なものがごちゃまぜに置かれている。
それらを丁寧に一つずつ武器は武器、防具は防具にまとめて決まった場所に置いていく。
最近は割と片付いている気がするのは気のせいだろうか。
ファルシャが突然小さく一言何かの呪文を呟いた。
するとうっすらと女性の姿が浮かび上がる。

「いたのか姉貴。ハイドなんか使いやがって何してるんだ。」

その言葉に女性は術を解いたのか、はっきり見えるようになった。
スッキリと高い位置で結われた藍色の髪、釣り上がった目、ヒューマンにはない軽装備は彼女がダン族であることを物語っている。

「随分な挨拶よね。別にかくれんぼがしたかったわけじゃないのよ。ただ」

そう言って「姉貴」と呼ばれた人物が更に目付きを鋭くする。

「最近、誰だか知らないけどうちのギルド倉庫に出入りしてる奴がいるみたいなのよね。」

備品がなくなってるわけじゃないけど、とダンは呟いた。

「だったらいいだろう。いずれ俺が捕まえる。」

「そうして欲しいわね。じゃあアタシはもう行くから後ヨロシク」

そう言ってダンは倉庫から出て行った。
後々ファルシャは正体を突き止めることになるが、それはまた、別の話である。

〈続く〉
_____
今回は3348文字

最後のは昔セイラン主人公のロハン小説を考えて、主人公がファルシャに移った時用に考えてたネタ。

正月挟んだらだいぶ遅くなりましt…ううん!待ってる人は少ないと信じてる!

そんなわけで中途半端に終了!
以下ネタ。

【次回予告】

「一体このモントには何人ウィザードになりたいメイジがいるの?!」

怒るエミリタ・リオナンが課してきた試練。
それは本当にウィザードになるため、己を信じるための試練だった。

「なんだこれは…?!」


《END》

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genre : オンラインゲーム

それは遥か昔の…【3】

「結局上位職になるのに準備すんのはウィザードもウォーロックも変わんねぇんじゃん」

「まあな。
強い魔力を受け入れるためには受け入れる側にも相応の強さが求められる。
試験はそういう意味で行われるんだと今になって思う。」

ファルシャは無意識なのか話しながら左手に魔力の炎をともしては握り潰すように消す行為を繰り返した。













アイバフ地域、小人の丘バインドポイント。
アイバフ地域南部にあたるこの場所は隣接する火山地域イグニスの影響か、樹木は立ち枯れを起こしている。
緑溢れるカイノンに住み慣れたファルシャにとってはどうも好きになれない地域の一つだ。
しかし、この地域からは良質のアクアマリンが見つかることも多いらしく、時折地面を掘り返している冒険者風の者もいる。

「こんな場所で木を育てるとはな…」

軽くため息をつくと、ダークエルフだけが飼い馴らすことのできるガストという巨大な蜘蛛の乗り物にまたがってアルマンに指定された場所に向かった。
小人の丘バインドポイントはアイバフの西側にあるため、まずは東へ向かう道を行く。
アイバフは全体的に起伏の激しい地形をしており、上り坂があったかと思えば急に切り立つような崖に出る。
山を見ながらガストを走らせると、まるで関門のような小さな峡谷が見えてきた。
辺りには明らかに格上と見える魔物達がちらほらいるが、避けて通ることはできない。

「チッ…。よりによってこの先とはな…」

そう、地図によるとこの先に囁く炎の木が育成されている場所があるのだ。
盛大にため息をつくと、勢いよくガストを走らせた。
魔物が獲物に飛び掛かろうと走ってくるが、ファルシャは右手に持った杖で薙ぎ払ったり左手で魔力の衝撃波放って吹き飛ばしたりしながらガストを走らせた。
すると前方に不思議な魔法の光が見え、そこには結界が張られている空間が見える。
ファルシャはその空間に転がり込んだ。
外では結界の内部に入れない魔物達が悔しそうに地だんだ踏んでいるが、ファルシャはそれを無視した。
そして辺りをよく見回すと、どうやらそこは温室のようになっている。
明るい太陽の光のような暖かい光。
適度に生い茂った下草は、木の成長を邪魔することなく、程よく生えている。
そして何やら聞こえてくる囁き声は、どうやら木々から発せられているようだ。
いましがた現れた人物について囁き合っているように聞こえる。

「これが…囁く炎の木…」

ファルシャがそっと木に近付いた。
その瞬間、枝の一本がムチのようにしなり、ファルシャを威嚇する。
辺りは一辺して悪意に満ちた囁きに変わった。
ファルシャは軽く舌打ちすると、自分が作れる最上階の爽やかな笑顔を浮かべた。
もちろん左手に魔力の炎をともして。

「古代ウィザードの杖が30本程欲しい。分けてもらえれば嬉しい。」

木々の囁きが今度は狼狽したものへと変化する。
ファルシャはますます笑みを深くしながらも、左手の魔力の炎を大きくした。
「言うことを聞かなきゃ燃やすぞゴルァ」という暗黙の脅しである。

「俺も暇じゃないんでな。まあ…ここの木を全部燃やせるくらいの時間はあるだろうがな。」

木々はいよいよ焦ったような囁きを交わすと一斉に静まった。
そして赤い杖状の枝を一斉に落とす。
ファルシャは丁寧に数えながら拾い集めると縛り上げてガストに載せた。

「手荒な真似をして悪かったな。許してはくれんだろうが…」

カバンからタウン帰還のポータルストーンを取り出すと、「モント、ダークエルフタウン」と呟いて頭上に投げた。
ポータルストーンが割れて細かいカケラになるとファルシャとガストを包み込む光となり、一人と一匹は姿を消した。
後に残された木々はホッとしたような囁きから怒りを思わせる囁きまで、各々の感情を表現していたことをファルシャは知る由もない。

〈続く〉
_____
今回は改行等含め1610字かな。え?だるくなったからとかじゃな(ry

んー…ここは周りが60前後のMOBだったんで追いかけ回されたなぁ…
乗り物から落ちたりもしたし…

しかも周囲のMOBの方が痛いという、なんとも情けない気持ちになったのもいい思い出ですf^_^;
でも初っ端から黒竜聖殿ぶっちぎらされたドラゴンナイトの転職に比べれば装備もフロだったし、数もダンジョンほど多くなかったから結構楽だなー…とも思った。

そういえば、ドラゴンネストでは1次転職はなぜかみんなエルクル神殿行かされるんだが…

2次転職は…ロータスマーシュのアビス5ヶ所とかないわ…

そんな余計な話はおいといて、ひとまず次回へ続く!!


《END》

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それは遥か昔の…【2】

「あの日は暑い日だった。
俺はロハの祭壇討伐部隊に参加していて、帰って来た時に偶然ギルドポストを覗いた。
当時、マスター不在が続いて俺が事実上のマスターだったからな。
あの日のことは今でも覚えている。
一番下にあった漆黒の封筒…魔法で書かれた赤く光る文字…。
それが俺のウィザードへの試験の始まりだった。」

ファルシャが取り出したのは真っ黒な封筒に赤く光る文字で「to Mr. Varscha」と書かれていた。













【ファルシャ様

本書は貴殿の魔力が当イグニス魔法フォーラムの定める水準に達したことをお知らせするものです。
貴殿は次のステップに進むために相応しい魔力を身につけられました。
つきましてはウィザードを志されるのであれば王宮魔法師ヴァイエルン・アルマンを、ウォーロックを志されるのであれば私パスカル・ヴィスティールを尋ね、試験を受けることを許可します。
なお、本試験はパーティーを組んだ場合無効とします。
くれぐれもご注意ください。
それでは健闘を祈ります。
イグニス魔法フォーラム代表 パスカル・ヴィスティール】

ファルシャはしばらく手紙の内容を読んで何か考えていたようだが、丁寧に折り畳んでポケットに入れると何事もなかったかのようにロハの祭壇で集めた武器や防具、アクセサリーといった戦利品の整理を始める。
それが済むと、ギルドのメンバーには散歩と称して生まれ故郷、イグニスのモントへワープした。
相変わらず建物は黒っぽい色で統一され、不気味な雰囲気を醸し出しているモントだが、それでも人が溢れ、ちらほらと露店を出している冒険者もいる。
その中をファルシャは普段と変わらない様子で市街地を抜けて行き、王宮を目指した。
ワープゲートをくぐり抜けるとそこにはモント王宮がそびえ立っていた。

「何奴?!」

「ヴァイエルン・アルマン氏に用がある。書簡もここにある。」

衛兵の問いに対してファルシャは至って冷静に答えた。

「これは…イグニス魔法フォーラムの…!」

届いた手紙を衛兵に見せると意外にすんなりと通された。
衛兵はヴァイエルン・アルマンの部屋の前まで案内すると、一礼をして去って行った。
品のよさそうな扉を軽くノックすると中から「どうぞ」という軽やかな声がした。

「おや、お若いのに随分気難しそうな方ですね。どうかしましたか?」

焦げ茶色の髪を短く刈り込んだ品の良さそうなダークエルフが緩く微笑んだ。
しかし目は鋭くファルシャを観察している。

「そう気負わないでください。お茶でも飲みながら用件を聞かせてください。そこのソファーにおかけなさい。紅茶はお好き?」

「あぁ…頂く」

アルマンに進められるままに坐り心地のいいソファーに座った。

しばらくするとアルマンがいい香りのする紅茶をファルシャの前に置き、もうひとつは自分の前に置いた。
ファルシャはその紅茶を一口口に含んだ。
それは良く言えば勇猛果敢、悪く言えばガサツな姉達がいれるお茶とは異なり、ダークエルフは貴族なのだと思える一品だった。

「それで、どういった要件ですか?ティータイムを楽しみにきた訳ではないんでしょう?」

僕はそれでも構いませんけれど、とアルマンは笑った。
ファルシャはポケットから封筒を引っ張り出し、中の手紙を出すとアルマンに手渡した。
アルマンは手紙を受け取って中身に目を通す。

「ふぅん…ウィザードになりたいんですって?」

丁寧に折り畳んでファルシャに返した。

「貴方、ウィザードに何を求めるんです?」

「より高度な魔法とより強い魔力。それ以外に求めるものはない」

「そう…。でもその恰好からは…目から力も感じられない。意志の力以外はね。」

「なんだと…?!」

「そう怒らないで。僕は貴方を侮辱したいわけじゃありません。貴方がウィザードになれるような能力の持ち主には見えませんからウィザードとしての教育が受けられるぐらいの能力は持っていることを僕に見せてください。それぐらいの能力があるなら、貴方か、ウィザードになるように手伝う気はありますよ。」

ファルシャは不機嫌そうにため息をついた。

「わかった。何をすればいい?」

「ウィザードになるためには覚醒する幾つかの試練を乗り越えて、国王陛下の最終承認を得て、生まれながらに持つ魔力の封印を解かなければなりません」

「まどろっこしい前置きはいい。俺は何をすればいいんだ?」

「オッホホホせっかちなお方。準備に万端なら、敢えてこんな修練をする必要はありませんよ。でも貴方は準備が足りない。さぁ、ウィザードになるためのテストです。アイバフ地域の真ん中にある間欠泉から更に西北の方へ進めば、昔から宮廷の魔法師が育ててきた囁く炎の木がいます。そこから古代ウィザードの杖を30本持ってきてください。やる気さえあれば十分できることです。」

「それだけでいいのか?」

ファルシャは伺うようにアルマンを見たがアルマンは軽やかに笑うだけだった。
つくづく貴族は食えない奴が多い、とファルシャは思う。

「強気な方ですね。よろしい。さぁ、ではテストをクリアしてからまた会いましょう。」

ファルシャは軽く礼をするとアルマンの部屋を後にした。

〈続く〉
_____
大体1回2000~2500字を目安にしたいと思っています。

だって携帯で少しずつ書いているからスクロールががが

それにしても前フリが長い…

確かこの頃はファルシャばっかり稼動してたんで、マスター=ファルシャと思われてたな。
たまり場はカイノンでしたが、私自身はよくエトン周りの植物を掘ってました。
あとモント周辺かな。

税金10%が何回か続いたのでエトンに引っ越したわけですがf^_^;

ちなみにファルシャの名前の綴りが「Varscha」なのはこの名前を考えた時にドイツ語圏的なテイストにしたかったから…

そんな懐かしい思い出を噛み締めつつ

続く!!


《END》

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それは遥か昔の…【1】

消えること無き炎をともして

私は歩こう

例えそれが歪んだものでも…












北部3地域東部、ドラッド地方エトン


「ファルシャ!ファルシャってばよ!」

ファルシャと呼ばれた人物はうるさそうに目を開けた。
真っすぐな艶のある銀の髪、左右で違うルビーとサファイアの瞳は彼がダークエルフであることを物語っている。
ダークエルフはまがまがしい炎の魔法を扱ういわゆる黒魔導師だ。
また、妨害魔法も多く、魔法使いという性質のためか、ダン族と同等に嫌われることもある。
しかし多くのダークエルフは至って平和的な性格をしており、ファルシャもその一人だった。

「うるさいぞナーガル。そんな大きな声を出さなくても聞こえている。第99階級だからといって99歳ではない」

「なんだ、寝てたんじゃねぇのか」

ナーガルと呼ばれた人物もまた同じダークエルフだった。
ファルシャと違うのは、ナーガルの髪は漆黒だということと、任命されている階級や使う魔術の種類だろう。
ファルシャは静かにしろ、と言わんばかりにまた目を閉じた。
彼は今、値札の付いた樹液を自分の前に並べて、露店中のようだ。

「相変わらず売れない露店やってんのか」

「それは私への当てつけかしら?」

青みを帯びて背中まで伸ばした黒髪に、澄んだ碧眼のエルフ、ソプデトが横から口を挟んだ。
見ると武器類が幾つか並べられているが、売れた気配はなさそうだ。

「そういうわけじゃねぇよ…」

モゴモゴと口ごもるナーガルにファルシャはふっと笑みを浮かべた。

「今は売れる時間帯じゃないからな。ナーガル、何か話せ。こういう時はお喋りで時間を潰すのが一番だ。」

ファルシャは穏やかに笑って品物を並べ直した。

「はぁ?!それは俺への当てこすりか?!」

ふざけんなとばかりに顔を歪ませた。
しかし一方でナーガルはこの兄が随分穏やかな表情を見せることにいささか驚きを覚えた。
ナーガルはため息をつくとドカッとファルシャの横に座り込んむ。

「俺が話すことなんてねぇんじゃねぇか?」

「何故だ?」

ファルシャが不思議そうに首を傾げた。
それを見たナーガルは髪を掻きむしると空を見上げた。

「だってよ、俺やソプデトは一族の中でも末席の方だろ?俺らが何してきたかなんて、ファルシャや姉貴(セイラン)は知ってるわけじゃん?でも俺らはなんも知らないなんて不公平だと思ってよ…。俺らなんてなんでファルシャがウィザードになったのかすら知らねぇ」

ファルシャが困ったように微笑んだ。
ナーガルはそんなファルシャを睨んだがファルシャは一向に気にした様子はない。
そして何かを思い出すように黙って空を見上げたが、しばらくしてようやく口を開いた。

「誰かのために何かをしようとしても
そこには必ず自分の力の限界が存在する

そして底へと転がり込んで苦しむことになる

そこが底だとわからないがために苦しみ

あるいは存在の消去へ

はい上がる力は己が中に隠され見えず
けれど必ずそれは存在するもの

それを捜すは己自身であり
しかし他人でもある

そしてそれを越えた先には必ず世界が開け
後に戻ること能わず

それは過去との決別でもあり
しかし繋がりを持つもの

その中から力が生まれ

やがてはそれが力に変わり

還元、あるいは人を励ます力へと変わる」

「なんだそりゃ?」

「それが俺の根源だ」

普段は無口のファルシャが歌うような調子で話す様はまるで哀愁を帯びた詩人と言った所だろうか。
その口から語られる物語はおかしくも少しシリアスな、彼にとっては過ぎ去った時間の物語。
〈続く〉
_____
始まってしまいました…

転職クエストシリーズ第3弾はウィザード…

あれ?シリーズじゃないはずなんだけど…


《END》

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それは遥か昔の…【0】

こんにちは。
エセ小説家としては大瀧蛮と申します。
いつもこのような駄文満載のブログに目を通して頂き、感謝申し上げます。


今回、1月ほど前の10月30日あたりにサブが意外にも転職することができ、ウィザード転職の台詞スクリーンショットを入手できたため、新しい連載もどきとして書いて行きたいと思います。
自分自身、昔の懐かしい思い出を噛み締めながら書いて行ければと考えてこのタイトルになりました。

「それは遥か昔の…」の主人公はファルシャです。
普段は脇役キャラ的な扱いを受けがちですが、彼とてれっきとした生きたキャラクターであると私は思っています。
そこで今回はその彼にスポットライトを当ててみたいと思います。
書き出しの形式はまだ決まっていませんが、他2つとは変えたいと思います。
しかし予定はあくまで未定ですので、どうするかは作者自身もわかりません。
一つ間違いなく言えることは、やはり文字中心になるということでしょう。

そして、独断での二次創作の件を何とぞご容赦頂ければと思います。

最後に、ロハンプレーヤー様でない方にも少しでもロハンの世界に触れて頂ければ、と考えています。
なお、非プレーヤー様にはわかりにくい描写が出てくると思いますが、そこは作者の腕が悪いだけ、と思ってご容赦頂ければ幸です。

それでは長い前フリはここまでにして、次回から本編に入っていきたいと思います。


2011年12月5日
 大瀧蛮


《END》

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プロフィール

大瀧蛮

Author:大瀧蛮
 
 
新生R.O.H.A.N.(装備ゴミの復帰勢)
住所:連合サーバー ロネリアorエルス

キャラ名:ファルシャ
レベル:104
種族:ダークエルフ
職業:精神ウィザード
ギルド:

ソプデト(バフキャラ)
レベル:77
種族:エルフ
職業:精神テンプラー→プリースト(2017.01.17~)
ギルド:InfinityEdge

清藍(気まぐれ)
レベル:87
種族:デカン
職業:ドラゴンセージ
ギルド:InfinityEdge



DragonNest(休止中)
ジェレイントサーバー 10ch

レイ・シャルナス
レベル:93
職業:グラディエーター
ギルド:下手ですが何か(ギルマス)

ファルシャ(放置)
レベル:70
職業:ハイブリッド寄り火型セレアナ
ギルド:下手ですが何か

闘技場で遊ぶキャラ(名前は伏せます)
レベル:70
職業:グラディエーター(ぇ
ギルド:下手ですが何か

月野さんの子
Lv:90
職業:ムーンロード
ギルド:下手ですが何か


こんな感じでゆる~く気ままに活動しています^^

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